11月に出産を控えた相棒の腹を気遣い、安定期の今の時期に1泊2日の旅行に出る。
文字通りの夫婦水入らずの旅行は、たぶんこの後20年間はできないはずだ。
僕らの性格からして、人に自分の子どもを預けてまで自分たちの遊びを優先することはないだろう。
そう考えると今回の旅行が持つ意味はとても大きい。
仕事のスケジュールもたてこんでいたけれど、ここは無理をしてでも行く必要が僕らにはあった。
妊娠6ヶ月の相棒を乗せて、車での旅行。
清里→乗鞍→甲府というルートでまわる。
今日は自宅を出て清里に寄る。
清泉寮(キープ教会)のソフトクリームを3つは食べたいという相棒の願いを叶えるべく、休憩を入れながら現地に向かう。
清里は馴染みの場所だ。
20才の誕生日は八ヶ岳で迎えたし、その後も年に2回は訪れていた。
牛や馬に触れる牧場を通ったり、キープファームショップの子牛たちを呼び集めてみたり(モーモモモ、モーモモモと声をかけたら10頭ほどの牛たちが本当に寄ってきたのだ)、ヤマネミュージアムに行ったら休館だったり、と存分に楽しむ。
2つめのソフトクリームを食べながら、天気のこと、僕らがいかに幸せかということを相棒とおしゃべりをする。
パン工房で300円するクリームパンと、お土産のジャムを買って乗鞍を目指す。
途中、「さくらんぼ」ののぼりが立っていたので、いかにも地元のおじさんがやってます的な直売販売のお店によった。
相棒はあまり迷うことなく900円のさくらんぼを買っていた。
夕方の乗鞍高原は人影もなく(本当に誰もいない)硫黄の香りと夕暮れの日差しの中を散歩してみる。
現地の友人と夕食を食べ、のんびりする。
彼は沖縄に彼女がいて、来週からその彼女に会いに行くのだ。
オレゴン出身の彼と、イタリアンジャパニーズアメリカンの彼女。彼曰く「amazingな恋」だと。
夕食からの帰り道、人気のまったくない観光客用の駐車場で、地元の消防団の方たちが放水訓練をしていた。
競技会に参加するための訓練で、その姿があまりにも熱心なあまり笑いを誘う。
しばらく見学を決め込むことにした。
友人はあまり上手に日本語を話せないけれど、その面白さは十二分に理解できるらしくことあるごとに笑い転げていた。
相棒も笑い転げていた。
でも、あの勤勉さが日本人の美徳なんだ。「型」が「技」を生み、「技」が「美」を生む。
ロッジに戻ってからは、部屋で僕は仕事、相棒は「ステオク=素敵な奥さん」を鑑賞。
BGMはコルトレーン。空気はひんやりしていて、開けた窓からよだかの鳴き声が聞こえてきた。
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