プロジェクト結の活動も、9月ではや半年。
たくさんの賛同者・賛同団体、関係者の支援を受けて、石巻で継続して活動をしています。
何よりも、石巻の皆さんが私たちを受け入れてくれるからこそ続けられる私たちの活動。
関わっているすべての皆さんに、心から感謝を申し上げます。
ありがとうございます。
日々、石巻でどのような活動をしているか、一端をお伝えさせて下さい。
(撮影:長尾彰)
朝9時から活動を始めます。
まずは石巻市旧市庁舎に出向き、物資の仕分け作業をします。
石巻市教育委員会から委嘱を受け、市内の小中学校に直接届けられた学用品を回収、また全国から教育委員会に届けられた学用品を仕分けします。
箱を空けて、何が入っているかおおまかに種類ごとに仕分け。
種類ごとに仕分けたら、今度は細かく仕分け。
例えば鉛筆。
4B・3B・2B・B・HB・F・Hと硬さ毎に仕分けて、10本単位に輪ゴムで束ねます。
その数を数えて台帳に記入。
すべての学校から回収を終えて、それぞれの鉛筆の総数を数えて、棚に収納。
「何がいくつあるか」という全物資リストを作成して、教育委員会を通して全学校にリストを配布。
改めて「今必要なモノを、いくつ欲しいか」というリクエストリスト(発注票)を各学校から戴いて、それをもとにピッキング・種類、数の確認・梱包・発送という支援です。
「そこまでやる必要あるの?」
結のボランティア参加者が最初に抱く疑問がこれ。
でもね、そこまでやる必要があるのです。
石巻の先生方が最も困っているのは、「授業時間が足りないこと。」なのです。
モノが足りないわけじゃなく、時間が足りない。
3月11日から5月の連休明けまで、学校は再開されませんでした。
授業はできず、学年の変わり目でありながら子どもたちは約2ヶ月、自宅や避難所で待機せざるを得なかった。
学校再開以降、その遅れを取り戻すために授業時間を延ばしたり夏期休暇を短くして授業時間を確保する努力をされています。
同時に学校は避難所になっていて、他県の職員やボランティアが応援に来てくれていますが、その学校に勤務されている先生方も食事の準備などをお手伝いすることも多く、本来業務に戻れないこともしばしばあるということ。
授業の合間の準備や教材研究などの時間が奪われてしまうこともあり、同時に、様々な『支援』が学校に届き、イベントやセレモニーで総合学習の時間が増えて教科学習の時間が削られてしまう、という現象が起きています。
そんな中、わたしたちの「必要以上」の仕分けは、欲しいものをすぐに配れる状態で必要なだけ届けることができるので、先生方にとっては「かゆいところに手が届く」状態でのお届けになり、無駄な仕分けを先生に強いることがないのでとても喜ばれるのです。
「仕分けを厳密にして本当に必要なものを必要なだけ届ける⇒先生の手間が省ける⇒授業時間が多少なりとも確保できる⇒子どもたちにとってプラスになる。」という間接的な支援ができる、というわけです。
9月頭の段階で、ほぼすべての学校から学校に直接届いた支援物資の「回収」が終わりました。
これから先は「発注票」と照らし合わせピッキングする作業が始まります。
(撮影:長尾彰)
物資の仕分けは旧石巻市庁舎で行われます。
もともと取り壊す予定だった建物だったので、そこに残されていた什器を工夫して「仕分けされたものをわかりやすく置く棚」として活用しています。
こういった「工夫」は友人で倉庫業を営んでいる西尾伸介さんに色々とご協力をいただきました。
西尾さん、いつもありがとう!
(撮影:長尾彰)
一口にノート、と言っても実に多くの種類のノートがあります。
学年や教科、単元や授業の目的に応じて先生方はノートの種類を使い分けます。
それぞれの種類ごとに、取り出しやすいように棚に納めていきます。
(撮影:長尾彰)
各学校から回収されてきた物資の様子です。
こんな風に段ボールにいろいろなものが雑多に入った状態で送られてきます。
ひとつひとつ箱を空けて、黙々と仕分けします。
(撮影:長尾彰)
プロジェクト結は、「テイラー文庫」の取組もサポートしています。
テイラー文庫の概要についてはこちらをどうぞ。
プロジェクト結は、テイラーさんの父親であるアンディ・アンダーソンさんの代理人であり、結の賛同者でも高成田亨さんとの連携のもと、木工職人の遠藤さんとテイラーさんの勤務校と調整し、本棚を設置、本棚に入れる本の選定など実務的なことをお手伝いさせていただいています。
もちろん私たちは直接テイラーさんとは面識はありません。
しかし、テイラーさんと親交があった方々とお会いし、生前のテイラーさんの話を聞く度に津波が奪っていったものの大きさを痛感させられます。
同時に、「家族」とは何か、ということを深く深く考えさせられます。
この日は学校での贈呈式が行われる前に、石巻グランドホテルでアンダーソンさんご一家を始めテイラー文庫、テイラー基金の発足に奔走された多くの関係者を迎え、亀山石巻市長より感謝状がアンディさんに手渡されました。
(撮影:長尾彰)
この後、万石浦小学校を始め、7つの幼稚園・小学校・中学校でテイラー文庫の贈呈式が行われました。
それぞれの学校で生徒たちがとても素敵な歓迎をしてくれました。
生前のテイラーさんとの思い出。
地震当日のこと。
いなくなってしまった今の、気持ち。
子どもたちの思い出を通して、故郷を遠く離れて日本で暮らしていたテイラーさんの姿が、アンディさん家族に伝わりました。
「テイラーは、日本に行くという自分の夢を叶えて、こんなに素敵な人達に囲まれていた。幸せなことだと思う。本が大好きだったテイラー。彼女のことを忘れないでいて。そして本が大好きな大人になって下さい。」
アンディさんのメッセージに、同じように娘を持つ父親としての自分は身につまされました。
テイラー文庫そのものは、まだ万石浦小学校1校に設置されたばかりです。
これから少し時間はかかりますが、高成田さん、遠藤さんと各学校を回って先生方と相談しながら進めていきます。
(撮影:長尾彰)
同じく6日、夕方からは女川フィーバーエンジェルスと石巻中央ドリームスの練習に参加。
これまでの取組についてはこちらをどうぞ。
5月の頭に関わりを持ち始めて以来、4ヶ月ぶりの再開です。
今回もプロバスケットボール選手の千葉エクスドリームスの岡村憲司選手、元三菱電機コアラーズの神事真規子さんが石巻を訪れて一緒に練習に参加してくれました。
(撮影:中川綾)
僕は中学・高校・大学とバスケットボール部。
バスケ小僧です。
プロ選手といっしょにプレイできること、本当に感激です。
子どもたちとの試合に備えて、体を温めます。
(撮影:中川綾)
いよいよ子どもたちとの試合開始!
7分間の試合が実に8本!
大人チームはへろへろです。
子どもたちは元気いっぱい!
大人チームの素晴らしいところは、決して手加減しないことです。
「おとなげない!」と周囲から野次が飛びますが関係なし。
ボールを持ったら真剣勝負。
真剣に走り、攻め、守る。
コートに立って試合になれば、大人も子どもも関係なし。
一生懸命やる。
大人チームのメンバーは事前にそんな話はしませんが、全員バスケットマン。
試合が始まれば、全員、全力でプレイします。
(撮影:長尾彰)
上の写真にもチラリと映っていますが、実は今回は超サプライズゲストが来てくれました。
漫画家の井上雄彦さんです。
ひょんなことから井上さんと繋がることができて、5月にフィーバーエンジェルスを訪問した際にはサインとボールやTシャツのプレゼントをいただきました。
その時の模様はこちら。
井上さんは自然な振る舞いで子どもたちといっしょにボールを追いかけてくれました。
漫画家も、プロ選手も、子どもも、会社員も、ボールを持てば関係なし。
夢中でボールを追いかけました。
女川FA、石巻ドリームスの子どもたちからは井上さんに色紙の贈り物。
隣に写っているのは岡村憲司選手。
遠目に見る二人、似ているのです、輪郭が。
「アニキ!」「弟よ。」
その場で兄弟の契りが結ばれました。
アクシデントもあり。
弟である岡村選手のあまりに強烈なパスに足がついていかない井上さん。
1試合目の試合開始4分50秒でまさかの肉離れ。
あえなく戦線離脱。
「ぬう、情けない・・・。」とうなだれる巨匠でありました。
(撮影:中川綾)
試合終了後には、井上さんからのサプライズプレゼント!
スラムダンクTシャツやタオルなど、たくさんの贈り物が直接届けられました。
子どもたちは大喜び。
何より保護者の皆さんが大興奮でした。
練習場所がなくなってしまい、石巻ドリームスと合同練習を続けるエンジェルス。
子どもたちはへこたれず、全国大会に向けて練習を続けています。
(撮影:不明)
みんなで記念撮影。
「がけっぷち」タオルがいい味を出しています。
バスケットボールが繋ぐ縁。
「あきらめたら、試合終了ですよ。」
まだまだ大変なことは多いけれど、あきらめずに、日々の練習を続けていこう。
(撮影:長尾彰)
お世話になっている湊水産の木村社長夫妻と。
湊水産株式会社は楽天市場で「愛情たらこのみなと」を出店しています。
プロジェクト結に従業員休憩室(被災を逃れた60畳の部屋)や、木村社長のご自宅を提供してくれています。
石巻の吉野町に位置する結の拠点は、市内外へのアクセスにとても便利で活動する上でとても助かっています。
(撮影:長尾彰)
木村家の三女、未知さん。
大学生で現在休学中で帰省されているということもあり、結のメンバー(現地班)として活動してくれています。
大の漫画好きなみっちゃん。
自室も津波の被害に遭い、大切にしていた漫画がすべて流されてしまいました。
スラムダンク全巻も流されてしまったとのこと。
流されてしまったことを嘆いていましたが、井上さんに会えたことでこんなに素敵な笑顔に。
彼女には後日、更に素敵なサプライズプレゼントが井上さんから届けられたのでした。
(撮影:長尾彰)
翌日は、プロジェクト結の賛同団体であるNPO法人じぶん未来クラブのプロデュースによる、Young Americansによる東北ミニワークショップツアーの初日です。
大船渡市立大船渡北小学校を皮切りに、延べ17回の歌と踊りのワークショップが始まります。
選び抜かれた「キャスト」たちが、入念に打ち合わせをしながら子どもたちの受け入れを待っているところです。
(撮影:長尾彰)
子どもたちは体育館に集合。
元気いっぱいのキャストにびっくり。
これから何が起こるのか、不安半分、期待半分といったところでしょうか。
キャストたちはとにかく笑顔・笑顔・笑顔。
子どもたちと関わる上での教育とトレーニングを、6ヶ月間かけてみっちりと学んで実践してきている彼らは、言葉が通じなくてもとにかく子どもたちとの「距離」をとるのが上手。
自分たちが「ガイジン」だということも十分意識しながら、上手に子どもたちを自分たちの「エリア」に入れていく。
これはなかなか普通の人にはできないことです。
(撮影:長尾彰)
子どもたちは興味津々。
キャストは片言の日本語。
おずおずと近づきながらお互いに距離を縮めていきます。
(撮影:長尾彰)
言葉は通じなくたって、「やあ、こんにちは!会えて嬉しいよ!今日は楽しもう!」という気持ちは伝わります。
(撮影:長尾彰)
そしてセッションが始まります。
まずはダンスのセッション。
「え!こんなの絶対に僕ら、踊れるわけなんかないよ!」というダンスを短い時間であっという間に振りつけていくキャスト。
子どもたちのキャストへの距離が縮まり、徐々に集中力が高まります。
キャスト唯一の日本人、シュカが通訳しながら進めます。
(撮影:長尾彰)
校長先生を始めとした担任の先生方もダンスに挑戦。
メアリーの熱烈指導のもとに、自然と笑顔がこぼれます。
最初は恥ずかして照れくさそうに踊る先生たち。
でも、途中からだんだん感じがつかめてくると、体がリズムに合ってきます。
(撮影:長尾彰)
ダンスセッションが始まって10分も経たないうちに、子どもたちは楽しそうに踊り始めます。
キャストたちは繰り返し繰り返し伝えます。
「うまくやろうとしなくていいよ、とにかく真似してごらん。楽しくなるから!」
「ウマーイ、スゴーイ!ジョーズ、スバーラシー!」と褒め続けます。
すると子どもたちもその言葉に乗るように動きがよくなっていきます。
(撮影:長尾彰)
ダンスセッションを全員で。
体育館を縦横無尽に動いて、踊って声を出して、笑って。
汗びっしょりになって、リズムに乗って。
「溜まっていた何か」が体中から発散されていくように、子どもたちの顔つきが変わっていきます。
「踊るのなんか恥ずかしくてできるかい!」ってな感じの男子達が、それはもう楽しそうに生き生きと踊っています。
(撮影:長尾彰)
生き生きとしたかんじ、写真から伝わりますでしょうか(笑)
(撮影:長尾彰)
校長先生もDance!Dance!Dance!
全員で踊り、歌う2時間でした。
(撮影:中川綾)
8日は、プロジェクト結が継続して実施している「みんなの場」の活動にヤングアメリカンズのキャストも参加してくれました。
「みんなの場」は、石巻市内の仮設団地の集会所で行われています。
子どもたちは午後3時過ぎ、学校が終わると仮設団地に帰ってきます。
石巻市内の多くの公園や空き地は、仮設住宅が建設されています。
また、道路はダンプや大型トラックが復興のために多く走りまわり、仮設住宅周辺には安心・安全な遊び場や溜まり場がありません。
そこで、結のボランティアが仮設団地集会所で子どもたちと遊び、時には学び、そこに顔を出した大人たちとお茶を飲みながら新しい関わりを作ったり。
キャストたちも習字に挑戦です。
子どもたちは味のある「ガイジン」の習字に腹を抱えて笑いながら、それでも興味津々、キャストたちに近づいて遊びます。
言葉なんか通じなくても平気。
「友達」という漢字を教わって、生まれて初めての習字に挑戦したキャストのジェイアール。
(撮影:長尾彰)
キャストから「みんなの場」に来てくれた子どもや大人たちに歌のプレゼント。
「にじ」
作詞 新沢としひこ
作曲 中川ひろたか
「見上げてごらん夜の星を」
作詞 永六輔
作曲 いずみたく
日本語で、とても美しいハーモニーで歌いあげてくれます。
それまで大暴れしていた男の子も、すっと静かに聴き入っています。
普段の遊びの延長で、自然なタイミングで始まる歌。
遠くアメリカやドイツから集まったキャストたちの想いが伝わってきます。
(撮影:長尾彰)
仮設団地集会所では、遊びは室内に限られてしまいます。
団地内の空いたスペースは砂利が敷かれた駐車場。
ひっきりなしに車が行き交い、安全とは言えません。
近場の公園や空き地は、ところ狭しと仮設住宅が建設されていて、ちょっと遊ぶ、というのがなかなか難しい状況です。
また、余震が続き、いつ大きな地震と津波が来るかわからない、といった状況では安心して外で遊ばせる、といったことも、保護者の視点は難しいのが現状です。
そこで、ボランティアが安心・安全な場所でできることをしています。
写真のようにトランプをしたり。
日本マイクロソフト社から寄付をうけたXboxキネクトで、運動できるゲームで遊んだり、クッキーを焼いたり宿題をしたり粘土で造形したり、お絵かきをしたり習字をしたり。
ぜひ結のボランティアに一度参加してみてください。
ボランティアの申し込みはこちらからどうぞ。
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