泊まっているのはオフィス内のゲストルーム。
10畳くらいの部屋に、ベッドと机とバスとクローゼット。
いたって快適な部屋を提供してもらっています。
部屋の向かいにはバルコニーがあって、そこから海を挟んでシアトルのダウンタウンが一望できる。
なんというか、とてもリッチな光景なわけです。
セーフコフィールド・シアトルタワー・高層ビル。
今回も「どうせ写真なんか撮っている暇はないだろう」とカメラを持ってきていません。
でもとってもきれいな眺め。
携帯を手にバルコニーに出ました。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、冬のシアトルは結構寒い。
バルコニーに出てドアを閉める。
そしてロックアウトされる。
自動ロックがかかったのです。
僕はバルコニーに取り残されました。
バルコニーは4階。
5階にはスタッフがいる。
時間は23:30。
ポケットの中にはここでは使えない日本の携帯とお財布。
服装はTシャツにフーディ。
さて困ったぞ、と。
バルコニーから下を眺める。
目測で8メートルくらい。
そうだよね、4階だもん。
飛び降りることはできなくはないけど、怪我は避けられない高さ。
バルコニーには何もない。
5階にいるスタッフに向かって叫ぶ。
生まれて初めて真剣に「Help me! Enybody there!?」と叫びました。
ふざけないで、真剣に。
強化ガラスなのでとうぜん5階には声は届かない模様。
通りには車は3分に1台くらい走っているけど、人は1人も歩いていない。
さて、次。
5階の窓までの距離は3メートルと少し。
ブーツの靴紐をはずして、ベルトをはずして、フーディの紐をとってそれぞれを結ぶ。
財布の5円玉と50円玉を靴紐にくくりつけて5階の窓にぶつける。
20回ぶつけても反応なし。
次。
ブーツを手に履いて、4階の窓をSOSのリズムで叩く。
100回数えたところでおしまいにする。
次。
ブーツの紐を通す穴に紐をくくりつけて、5階の窓にぶつける。
時間にしてそうだね、20分は投げ続けたと思う。
体はどんどん冷え始める。
あと20回投げたらプランD、飛び降り大作戦を決行しようと思ったときに5階にいるスタッフが外を見て何かを叫んでいる。
もう一度ブーツを5階の窓に向かって投げる。
気づいてもらう。
OK,助かった。
こうして僕は今日もサバイバルしています。
死ぬかと思った。
これに比べたら○×なんて・・・どうでもいいや、と思ってしまいましたね。
人はいつ死ぬかわからない。
これは本当?嘘?さあどっちだ?
本当です。
人はいつ死ぬかわからないのです。