同点後、完全にチームは崩壊していた。
チームとしての機能は生きていて、オフザボールの動きを見ていてもチーム意識はあったし、「チームとして」というエネルギーを画面の向こうからでも感じ取ることができた。
けれど、個人は死んでいた。個人の能力は完全に「死んで」いた。
90分を通して走りぬくことができることも、技術(テクニック)のひとつのはずだ。
川口選手の目が物語っていたように感じる。
失点後、他の選手を鼓舞しようと声をかけようとしていた彼は、他の選手が「死んで」いるのを感じ取ったように見えた。ファインセーブを繰り返してチームにその姿勢と意気込みを見せていた彼も、85分以降は「死んで」いた。
競技スポーツをやられていた方にはわかるかもしれません。チームスポーツの経験がある方は特に。
精神が肉体を凌駕することなど、ありません。
「精神力でカバーする」というのは、つまりそれを支える肉体が、正確にはアデノシン3リン酸=ATPが枯渇していない肉体がある、ということが前提だ。
強い個人が強いチームを作る。
能力の高い個人が、能力の高いチームを作る。
オーストラリアは個人のエネルギーが残っていた。
ほんの少しの差。
同点ゴールも、アレックス選手のつま先があと5センチ伸びていれば、ですよね。
しかし、くやしいなあ。
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