深夜、参加者が廊下で騒ぎ宿泊客からクレームがきたとの連絡を受ける。
予想はしていたけれど、がっかりする。
前回の仕事の学校のときもそうだったし、僕も他のプログラムでは「生活のきまり」というものをあまり詳細に伝えない。
ルールを明文化しない、ということです。
「他人に迷惑をかけないようにしましょう。」
「他人の学びの邪魔をしないようにしましょう。」
「みなさんの自主性を尊重します。」
こんなメッセージを、今度こそは受け取ってくれるだろう、と参加者に伝えるわけです。
そして、一度もその期待と希望が叶えられたことはない。
小学生であろうと、中学生であろうと、高校生であろうと、大学生であろうと。
新社会人であろうと、中堅社員であろうと、経営者であろうと。
学びを深めるために、ゆっくりと体を休めてほしいという僕の希望。
せっかく見知らぬ人が集まって、たくさん話がしたいし仲良くなりたいし、という参加者の希望。
やっかいなのは、今回も、そう、今回も、体調不良者3名がその騒いでいたメンバーの中心だったということだ。
「みんなといることが楽しくて嬉しくて、他人のことを考えずに遅くまでつい無意識に騒いでしまいました。」というT君の弁解。
うん、それ、よくわかる。
僕も高校生の頃はそうだった。
しんのすけといっしょに、高校生に問いかける。
「あのさ、僕たちはこういうプログラムをずっとやってきていて、この類のことって、必ず起きるんだ。もう、絶対、 と言っていいくらい。」と、しんのすけ。
「そうだね。この類の『説教タイム』は欠かしていないね。去年の仕事の学校でもあったね。」と、僕。
「怒る、叱るわけじゃないから教えてくれない?どうしたらこういう『説教タイム』がなくなって、 みんな12時には眠ってくれるかな?」と、しんのすけ。
「もしかしたらオトナである僕たちの責任かもね。部屋を出歩いて騒がないように、交代で巡回することもできるし、 廊下に立って見張ることもできるね。でも、それをしないのは、僕たちも眠らないと体がきついからなんだ。だからできるならしたくない。 それってさ、本当は僕たちの怠慢なのかもしれないね。」と、僕。
「・・・・・。」と騒いでいた6人。
「Mちゃん、どうだろう、夜20キロ走したら、確実に寝るかな?」と、僕。
「寝る、確実に。でも・・・。」と、バレー部のMちゃん。
「そうだね、寝るけど次の日がきついね。それに体調を却って悪くする人が出てくるな・・・。何より僕がきついしな・・・。」と、 僕。
「そうだ、オトナが一緒に寝るってのはどうですか、大部屋で。」と大学生スタッフのさっちん。
「でもさ、たぶん僕はすぐに寝入っちゃうと思うんだ。そしたらそーっと僕の布団剥いだりして、『だいじょうぶ、あきら寝てる。 爆睡だよこいつ。』とかいいながら、そーっと部屋を出て行くんだろ?僕だったらそうするもんね。」と、僕。
「永遠のテーマだな。」と、しんのすけ。
ちなみに今回のこの「説教タイム」、僕たちはこんな風に参加者に関わりました。
叱るわけでもなく、怒るわけでもなく。
「昨晩騒いでいた人がいたようで、ホテルに宿泊している他のお客様からクレームがありました。 思い当たる節がある人はこの場に残ってください。」
6人がその場に残る。
テーブルを囲んで座る。
「今、どんなこと考えてる?どう思う?」
これを90分。
「他の人を考えていませんでした。迷惑かけてすいませんでした。明日からの行動でこの失敗を挽回したいと思います。」と、 叱られ慣れしている優等生回答のTくん。
「思いやりや気遣いがありませんでした。もっと自覚を持って行動したいと思います。」とHさん。
ん、そういう答えがほしかったわけじゃないんだ。
そうじゃない。
じゃあどうなんだ、どんな答えがほしかったんだ、ということになりますが、それもよくわかりません。
どうしたら、この若者プログラムにありがちな「夜、寝ない。」という問題を解決できるでしょうか?
優秀な教師・講師・コーチ・ファシリテーター・コンサルタントのみなさん、何か名案(もちろん妙案と珍案も含む)を、 ナイスアイディアをくださーい。
ただし法に触れないやつ。
さあ、今晩はどうなるかな?
このトピック、興味深いです.
私なら・・・
その「騒いでる」内容が何だったかもう少し知りたいかな.
プログラム以外のプライベートな話に熱中しているのであれば
先にそういう時間も用意しておく、とか.
(「後でいくらでもメールや会って時間は取れるよ」とか言っても
難しいんでしょうね.意識させるのは、できるかもしれません.)
まぁプログラムのスケジュール上、そこまで時間の余裕がない
ってのもあるとは思いますが、余白を作るって感じでしょうか.
エネルギーの「余り」って 抑えようとしても
抑えられないものだったりしますね・・・.
難しいですね.
投稿情報: Rie KAWANO | 2008年8 月 7日 (木) 19:03
おお、かわりえ、元気?思いがけずで嬉しいです。
会いたいね。
騒いでる内容は、「音楽とか趣味のことで、つい盛り上がってしまって」という男子3人女子1人、その声に釣られて集まった女子4人です。
意味のある話でもなく、「じゃあ、その話して仲良くなった?」という問いかけには「仲良くなって・・・は・・・ないなあ。う~ん。仲が良くなるってかんじじゃあない。」
とのこと。
こういったプログラムをやっていて感じるのは、プログラムの進度・深度が進めば進むほど騒ぐ・盛り上がる・寝ない、ということです。
ハレの場所と時間で脳がお祭り状態でドーパミンを分泌させている、ということもあるだろうし、ホルモンのバランスで男女が同じ空間にいると心理的盲点を生み出す、ということでもあるんだろうな。
プログラムじゃないプログラム、構成的ではなく非構成的な学び、自分の学びと他人の学びがシームレスな学習を進めたいんだ。
「余白」がないやつ。
正確には「余白と余白じゃない部分の境目がなく、そもそもキャンバスもなく、人と出来事だけがそこにあって、個人の意志と意図が学びを生み出す」という状態。
でもさ、「これからまさに仲良くなって特別な体験を共有できるであろう異性が目の前にいる」状態ってさ、楽しいよね。寝たくないよね。話したいよね。
むーん。
投稿情報: akira | 2008年8 月 7日 (木) 19:59
お疲れ様、色々大変みたいだね。
寝ないなら寝かせないというのはどうでしょう。
仕事に差し支えるかもしれませんが、「絶対に寝ちゃ駄目、話をし続けろ」というと意外と眠るかも。努力逆転の法則でね!
こんな程度しか思いつかないや、ごめんね適当なコメントで。
投稿情報: jake | 2008年8 月 7日 (木) 21:18
今年も大変そうですね、仕事の学校。
私は合宿とかで遅くまで起きてる時って、「寝たら寝た分の時間を損してる感じ。こういう空間でこんなテンションで話できるのは今だけかも」みたいな意地がそうさせてますね。
ただ、流石に自分の体力の限界を知ってからは寝るようになりましたけど。
“自分の体力や集中力の限界を知ること”もどこかで学べればいいんですかね。
投稿情報: akutsu | 2008年8 月 7日 (木) 21:47
先日は見学でお世話になりました。
こういう問題もあるんですね。
見学時は想像してませんでした。
もしもホテルからクレームがこなかったら発覚してなかった。
と思うと、そっちの方が問題としはでかい気もする。
つまり、世の中の多くの問題は発覚していないことが理由で解決にも向かわずにそこにありつづける、のかもしれないな、と思いました。
投稿情報: かがや | 2008年8 月 8日 (金) 00:48