ゆほが結婚した。
初めてゆほに会ったのは、僕が22才、ゆほが18才。
あれから9年、ゆほは白無垢を着て幸せそうに微笑む明治記念館の午後2時、なのだ。
相棒も朝からおめかしして、ムスメも最高級のおべべを着て披露宴に招待していただく。
宴が進む中、ゆほとのことを考える。
初めて会ったキャンプのこと。そのときの彼女の振る舞い。何の気なしに仕事を手伝ってみる?と誘ったこと。案の定「いい味」を出していたこと。人に知られないように苦しんでいたこと(僕は知っていた、でも何もしなかった)。彼氏ができたこと。お腹に新しい命が宿っていること。
お色直しでウェディングドレスを着たゆほを見たら、やっぱり涙が出た。ムスメを盾にして涙を隠す。声を出して泣いちゃいそうだ。
司会者が、「お二人の恋のキューピッド」としてミッキーを紹介していた。
ちょっと待て、本当のキューピッドはオレだぜ、とひとりごちる。
だってゆほを連れてきたのオレだもん。
さらにひとりごちる。
ちょっと待て、オレが産まれなければ・親父とお袋が出会わなければ・親父とお袋が産まれなければ・湯川さんがOKしなければ・桜井さんが会社作らなければ・ゆほの親父さんが産まれなければ・お袋さんが産まれなければ・・・・・・
結局皆さんのおかげで、今この場があることはやっぱりとても尊いことだと気づく。
みんなのおかげで今があるんだね。
ムスメを抱きながら、美しい時間を過ごした。
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