切ない夢を見ます。
その1.高校3年生、中間テストの巻。
僕は31才の今のままで、高校生。学生服を着て、教室にいる。僕の前の席は中田さんで、両隣はだれかわからない。明日から中間テスト。
数学の授業。教科書を開いても、想定問題を解こうとしてもさっぱり分けがわからない。
いつものように中田さんにわからないところを教えてもらおうと声をかける。いつものように中田さんは懇切丁寧に教えてくれるけれど、
内容はさっぱりわからない。これで赤点を取ると僕は卒業できない。中田さんは18才のままで、僕に
「もう31才なんだから自分でどうにかしてください」と言われる。「嘘だ、これは夢だ、僕はもう高校は卒業しているんだ」
と自分に言い聞かせたところで目が覚める。
隣には相棒の顔、その向こうにはムスメの姿。
その2.高校3年生、体育の授業の巻。
僕は31才の今のままで、高校生。私服で部室にいる。体育の時間、いつもそうだったように部室でさぼっている。
小池先生が階下から僕を呼ぶが怒られると嫌だし、何しろ小池先生はどちらかというと「ナメラレテル」先生だったので無視を決め込む。
そのうち階下の小池先生が「長尾はまだ1度も授業に出ていない。点がつけられないな・・・。」と呟く声。「嘘だ、これは夢だ、
僕はもう高校は卒業しているんだ」と自分に言い聞かせたところで目が覚める。
隣にはムスメの顔、その向こうには相棒の姿。
その3.大学4年生、アルバイトの巻。
僕は31才の今のままで、大学4年生。月曜から金曜の夜まで働いていたパチンコ屋さんで、31才の僕はまたアルバイトを始める。
やくざのような加藤さん、もごもごしゃべる山西さん、親切に教えてくれる久田さん、同じ大学の嘉門さんがまだお店にいる。
時給1200円でのアルバイト、復帰初日でやめたくなる。加藤さんは「また戻ってきたんか」と凄み、山西さんは「しゃーないでしかし」
と嘲り、久田さんは「自分でやりなよ」と不親切で、嘉門さんには無視される。「もうお金のためだけに働くのは嫌だなあ、
今の僕はもっと違うことをしているのに、なんでかなあ、そうか、これは夢だ」と自分に言い聞かせたところで目が覚める。
隣には相棒の顔、その向こうにはムスメの姿。
生きるとか、働くとか、愛するとか、将来に向かうとか、
人には話さずに自分のキモチの中だけでうじうじと考えていたそれぞれの時代の夢を見ます。
そして今、生きるとか、働くとか、愛するとか、将来に向かうとか、
18才や22才の頃に真剣に考えていたことをまた考え直しているのでこんな夢を見るんだと思います。
それぞれの問いには答えがなくて、いや、正解がなくて、自分の答えを出さなければならなくて、
自分の中にはその答えが出ているのだけれど、確固たる信念は確固たる故に脆く、
自信に満ちている今の自分が欺瞞であることに許せないわけです。
よくわからないけれど、今の何かを失うのが怖い。