Akira Web Journal

船は進む。

ワークショップの会場は、部屋の中だ。

上下左右に揺れる中、船酔いになってしまうメンバーが続出する。

場所を変えて甲板で行う。

太陽が気持ちいい。360度の水平線。遠くに砕けた白い波頭の先に、イルカが跳んでいるのをみた。

強烈な日差しに灼かれるけれど、やっぱり僕は太陽の下が好きだ。

船の揺れにも慣れて、眠りにつくときの揺れが逆に気持ちいい。

美しい日本語がいい。

上海2日目。現地の日系企業を見学し、日本へと向かう船に乗船する。

目に入ってくるものがすべて漢字なので（当然といえば当然だけれど）、だんだん疲れてくる。おまけに街中にある日本語はほとんどが間違っているものだから、余計に疲れる。

「にの先、立さ止まソ。」この先、行き止まりということを伝えたいのだろうけど、にの先は、立ちとまソなのである。だれが、なんといおうと。

「うめたりヅユーヌ、あソまむ。」つめたいジュースがあるんだろうけれど、うめたりヅユーヌがあソまむんだろう。だれが、なんといおうと。

長江の支流に浮かぶ船に乗ったときには、ぐっと疲れてしまった。文字にやられたのだ。

美しい日本語に理由があるのだ。

上海1日目。

10時の飛行機で上海へ。

空港で参加者と合流し、空路で上海へ向かう。機内食（パッケージングされた中華）は見た目からして美味しそうではないので、申し訳ないのだけれどおこわのおにぎりとデザートだけ口をつけて、後は残す。

プドン空港まで3時間強のフライト。機中では新聞を読んで後は睡眠。着陸のショックで目を覚ました。

税関の女性は、「勤労女性」という4文字がぴったりあてはまるような目つきの鋭い（そして体格の良い）女性だった。きっちりとパスポートを見て、きっちりとパスポートの写真と僕の顔を見比べるので負けじときっちり目を見つめてあげた。

日本の佐賀あたりと同じ緯度なんだろうけれど、とても蒸し暑い。バスに乗って上海市内に向かう。道路沿いにはリニアモーターカー。ガイドの話を聴きながら、相棒とムスメのことを思い出す。そしてパラオのことを思い出す。

宿泊は新錦江大酒店（Jin Jiang Tower Hotel ）、部屋は１４階、クィーンサイズの部屋。やはり窓は全開にならず、20センチほど開いた窓から通りの音を聴く。

ホテルまでの車窓から眺めた上海は、とてもごてごてしていて「混沌」がぴったり似合う街だった。カオス。無秩序。とてつもないエネルギーを感じるが、そこに理性はない。

開講式が始まるまでの1時間はフリータイムなので、スーツに着替えてフロントで両替を済ませる。海外での鉄則なのかもしれないけれど、生水は飲まないので（僕は飲まないと決めたら決して飲まない。）、ホテルのコンビニエンスショップでエビアンの2リットルボトルを買う。

部屋に戻って水道の蛇口をひねったら、案の定不吉な赤茶色をした水が蛇口から流れ出てきた。匂いもきつい。この水は僕には合わないだろうなと思いながら、洗面所にもペットボトルを置いておく。

開講式を終えた後は、事務局・講師顔合わせの食事会。ホテル近くの湖南料理のお店でご馳走になる。とにかく辛い。辛いけど美味い。僕は汗っかきなので（アイスクリームを食べながらも汗をかくくらいなのだ）、顔から大量の汗を噴出させる。辛くない料理（それにしたって普段食べているものよりかは香辛料多めなのだ）が出てくると平和な気持ちになる反面、辛さが懐かしくなる。戦争の合間のつかの間の平和を過ごす兵士ってのはこんな気分なんだろうね。しばらくこの平和を続けると、戦争（辛さ）が恋しくなってくる。

ホテルに戻ってNHKBSを観ながら、うとうとする。家族旅行で上海へ来たいか、と聞かれたら「別にいいです」と答えるだろうな。物価が安いとはいえ、この混沌の中で楽しみを見出すのは家族旅行では難しいです。

相棒と二人での旅ならいいけれど。

ホームシック。

明日からの上海での仕事を控え、成田に向かう。

1週間、相棒とムスメに会えないと思うと、自分で選んだ結果とはいえ出たくなくなる。

仕方なくだらだらと旅支度を済ませ、スーツケースをごろごろしながら駅へ向かう。

新宿から成田エクスプレスで、空港近くのホテルへ。

クライアントが気を使ってくれたのか、ダブルの部屋に入る。カーテンを開け、開かない窓からしばらく外を眺めて少しだけパソコンに向かって事務仕事をする。

飛行機のジェットサウンド以外に音が聞こえなくて、腕時計の秒針が進む音も聞こえてくる。

ああ、帰りたいなあ。

3日考えた。

いや、違ったな。 いつでもどこでも、自分には厳しく、他人には寛容でありたい。 目指す姿。

本。

仙台で仕事。

朝早い新幹線に乗って、仙台を目指す。

往復の時間は貴重な読書の時間。往路は専門書で仕事関係のインプット、復路は雑誌や文芸書で脳味噌をゆるゆるさせる。

最近のヒットは、うん、あまり無いな。ビジネス書ばかり読んでるからだな。

論理的なインプットはあっても、情動的なインプットがないのだ。

フィクションとノンフィクション。

僕は物語で心を動かされるほうです。

満たされる。

御殿場での仕事、3日目。

夕方の早い時間に現場を終え、パートナーを下ろし、相棒とムスメが待つ家に帰る。

とても暑い日が続いていて、冷房の無い相棒の実家での生活はムスメにとっても大変だったようだ。

とはいうものの、早い時間に家に帰ってムスメを抱きながら相棒と今日あったことを話す時間は、とても満たされている。

僕の仕事。

御殿場での仕事、2日目。

今日はチームビルディング。

僕の仕事の目的は２つある。

１つは文字通りチームを作ること。今そこにいる人たちと今ここで起こった出来事を元に、「強いチーム」を作るのが僕の仕事。

この場合は副次的な効果としてリーダーシップの重要性に気付く人もいれば、自分自身の人間関係の作り方について気付く人もいれば、何をすればチームの力を引き出すことかできるかを気付く人もいる。

そして正解はない。なぜならそこで起きる事柄は「自分」「自分たち」の出来事だからだ。

もう１つはチームを作る過程でリーダーシップを学ぶこと。

こちらはどちらかというとチームを作るよりも、より個人の能力開発に力を入れる行為だ。

能力のある個人が能力のあるチームを作る、ということに気付いて自分がどの能力を発揮できるのかを知る。

感覚的にしか表現できないのだけれど、チームビルディングは内向き、リーダーシップの学びは外向きなのだ。

こういった学びをどう進めていくかは、もちろん企業秘密なのです。

気付いていない人には気付かせてあげなくてはいけない。

仏陀のように。キリストのように。孔子のように。王陽明のように。上杉鷹山のように。

僕の目標とする人たちはこういった人たちなんだな。。。すげえ。。。オレ。。。

備忘録。

御殿場で仕事。

仕事のパートナーを乗せて車で現場へ移動する。

霧と雨。富士山の麓は涼しい。

富士演習場から大砲の音が聞こえてくる。

ひで。

中田選手が引退したことを聞いて、特に驚きはなかった。

ローマにいてトッティとポジション争いしてた頃の体のキレは今はもう無いし（実際に股関節の故障を抱えていたようだし）、代表チームのメンバーとはすれ違いだし（見てればわかる）。

ブラジル戦後、センターサークルにひっくり返って泣いている中田選手に声をかけたのはプレイヤーでは宮本選手だけ。マッサーが声をかけて傍らにいたけれど。

自分に厳しい人は嫌われる。他人にも厳しいからだ。

自分に甘い人は嫌われる。他人にも甘いからだ。

あれ？

じゃあ自分に厳しくて、他人に甘い人がいいのかな？

ん？自分に甘くて、他人に厳しい人？

僕はチームに属するんだったら、自分に厳しくて、他人にも厳しい人になりたい。

そうです、中田選手のように。

その結果嫌われるのは構わない。

嫌われる反面、「わかってくれる人」はとことん気に入ってくれるからだ。

「ナルシスト」、大いに結構。自分が好きな人は、他人も好きになれる。自分が嫌いな人は、他人を好きになるのが難しい。

いずれにしても、お疲れ様でした。